猫が飼い主の手足や体を噛んでくる「噛みグセ」を何とか治したいと悩んでいる飼い主さんは多いようです。
特に子猫の時期は、飼い主と遊んでいる時に噛むことがよくあります。
いくら小さくて可愛くても、噛まれればかなりの痛みです。
噛みグセが成長と共に自然になくなることはあまり期待できないので早めに治したいですね。
なぜ噛んでくるのか、噛まれた時にはどうするべきか、そして、治すためのしつけ法などについてお伝えします。
猫が人を噛む理由
特に子猫は人と遊んでいる時によく噛んでくるようです。
なぜ何も嫌なことをしていない飼い主に噛みつくのでしょうか?
子猫の噛みグセの理由は主に以下の通りです。
〈噛みグセの理由〉
①子猫同士のじゃれ合いと同じ感覚
②獲物を狙う行動の対象にする
③遊んでいて過度に興奮する
④遊びが足りない
①子猫同士のじゃれ合いと同じ感覚
生まれてからきょうだいと共に育った子猫は、きょうだい同士で遊び、じゃれ合って過ごします。
取っ組み合いのような恰好になり、遊びを通り越してケンカになったり結構激しめに互いを噛んだりするものです。
その後きょうだい達と離れ、飼い主と過ごすようになっても、激しめなじゃれ合いは人間相手で続きます。
②獲物を狙う行動の対象にする
猫には狩猟本能が備わっています。
物陰から獲物を狙い、突然飛びついて噛むのは本来猫にとっては必須の能力です。
このため、人間の足にいきなり噛みつくことがあると考えられます。
③遊んでいる間に過度に興奮する
こちらも子猫ならではと言える理由です。
エネルギーの塊でやんちゃ盛りの子猫ですから、飼い主と遊んでいるうちに嬉しくて興奮しすぎた結果がつい、飼い主を噛む、という行動につながる場合があります。
④遊びが足りない
前述の通り、子猫はエネルギーの塊です。
多頭飼いならまだしも、1匹だけで飼っているとどうしても力を持て余しがちになります。
そのストレスの発散として人を噛むことがあります。
噛まれた時の正しい対応とは?
手指を噛まれた瞬間は痛みで慌てますが、反射的に手を引っ込めるのは避けましょう。
尖った牙で引っかいて、手指に怪我をする恐れがあります。
噛まれることを想定しておき、冷静な対応をする心構えでいましょう。
噛まれたまま手指を口に押し付ける
一番簡単でやりやすい対応の仕方です。
手や指を噛まれたら、そのまま手指を猫の口に入れるように押し付けます。
喉奥にまではいかないようにしてください。
この時、できそうなら手で猫の顔を覆うようにするのもいいです。
「噛んだら相手は嫌がる、自分も不快な目に遭う」と覚えさせるのが狙いです。
噛まれた瞬間とっさに手を引いてしまうと怪我をする恐れもありますので、手を引っ込めるのは我慢しましょう。
ちょっと変な言い方ですが、常に「噛まれた時の心の準備」をしておくのも、猫飼いとしての覚悟のひとつです。
痛い!と大きな声を出す
猫に限らず、誰でもいきなり大声を出されると驚きや恐怖を感じますね。
「噛んだ時、大声がして怖かった」という経験で学習するうちに、噛むことが減っていくと思われます。
体罰は厳禁!
噛まれた瞬間の人間の行動として、つい反射的に猫を叩いたり、あるいはしつけとして叩くなど、「ある種の痛み」を与えるのが効果的と考える人も多いかと思います。
ですがこれらは効果がないばかりではなく、事態を悪化させる恐れがあります。
痛みを受けた猫は攻撃だと感じ、反撃として一層噛んでくる結果にもなります。
毎回このような対応をされた猫は、自分に痛みを与える人間に対して不信感を抱くかもしれません。
飼い主側も、そんな猫を可愛いと思えなくなっていくとしたら悲しいですね。
くれぐれも正しく冷静に対応し、体罰で解決しようと思わないでください。
噛みグセの治し方
噛みグセを治す効果が期待できるしつけ法と、道具や専用グッズを上手に使う方法を紹介します。
「痛い!」+「手で口の両横を押さえる」のセットと「声かけスキンシップ」
一番シンプルで道具不要、今からすぐ実行できる方法です。
前述の対応法として挙げたものですが、これを「しつけ」として根気よく続けることが、噛みグセを治す方法となります。
では、具体的なやり方を紹介します。
「痛い!」+「口の両横を押さえる」
1.低い声で「痛い!」と言う
猫は高い声より低めの声を怖がる傾向があるので、低い声で言うのは効果的です。
2.「痛い」を繰り返しながら猫の口の両横を押さえる
ここでの「押さえる」は、口の中に指を入れるのとは違います。
猫の口の両横を押し、「噛めない状態」にするのです。
※これは基本的に子猫対象のしつけ法ですので、成猫には困難かもしれません
一度で治るものではないので、根気よく続けます。
抱っこして優しい言葉をたくさん掛ける
猫が落ち着いている時にはできる限り抱っこして、「可愛いね~」「いい子だね~」など、スキンシップをしながらたくさん声を掛けてやります。
もしこれを行っている間でさえ噛むのなら、「痛い!」+「口の両横を押さえる」のセットのしつけも併せて行いましょう。
何日かかけて繰り返す
いわばこの「アメとムチ」のようなしつけ法を、数日続けてみましょう。
徐々に「痛い!」の声を聞いて噛んでいる力を緩めるようになるなど、変化していくようです。
早急な改善を期待しすぎないでください。
そもそも猫は「噛むことが悪い」とは思っていないのです。
そんな猫の気質や習性を理解し、猫に寄り添ってしつけていくという気持ちが大切です。
根底には猫への愛情が不可欠なのは言うまでもありません。
道具・グッズを活用する
道具や専用の対策グッズを活用する手段もあります。
水をスプレーで吹きかける
手軽な手段として、「水のスプレーを噴射する」が効果アリとされています。
水を嫌う猫は多く、また、突然顔に水がかかったら驚くという点からも効果が期待できます。
直接口を押さえるのと違い、飼い主の仕業だとは思われないのも利点です。
猫の嫌う風味を持つものを人の手や足に塗る
噛みグセ対策の商品も販売されています。
「噛み癖ノン愛猫用 塗るタイプ」は、猫が嫌う柑橘系の香りと、舐めたら軽い辛味を感じる成分を配合したものです。
これを人間の身体に塗って使用します。
人間にとってはさわやかな香りで、原材料は猫が舐めても害のないものなので、安心して使えます。
おもちゃでたっぷり遊ばせる
猫のおもちゃは改めて紹介することでもありませんが、飼い主が思う以上に遊び足りない可能性もあります。
お仕事をされている人は、猫と接する時間が十分に取れないという悩みもあるでしょう。
やんちゃな猫ちゃんの狩猟本能を満たすのにおすすめなおもちゃ2種は
です。
蹴りぐるみは思いっきり噛み放題ですし、レーザーポインタ―の光を追いかける動きなら、短時間で効率的に遊べます。
もしまだお持ちでなければ、買い足して試してみませんか。
成猫の「噛む」理由と対応は
ここまで主に子猫の噛みグセについて記述してきましたが、成猫が人を噛む場合は、病気が隠れているケースもあります。
痛い所を触られたため噛む
噛みグセなどなかった猫が人を噛むようになったとしたら、飼い主も違和感を抱くと思います。
もしかしたら何かの病気や不調により「触られると痛い」から、手を噛んでくるのかもしれません。
身体のある特定の場所を触った時に噛まれる、ということはありませんか?
普段から気をつけて観察してください。
明らかに「ここを触ると噛む、嫌がっている様子」と気づいた時は、獣医に相談し、診てもらいましょう。
「もうやめて」の意思表示
こちらは猫独特の気まぐれに起因するものです。
つい今まで撫でてもらってご機嫌だったはずのに、いきなり噛むことがあります。
これは、「撫でるのもうやめろ」と訴えるためです。
なんとも勝手な行動ですが、これも猫の専売特許。
噛まれるのを回避するには、噛まれる前に「やめろ」のサインをいち早くキャッチするのが大事です。
「もう撫でるのやめてほしい」のサイン
- しっぽをパタン、パタン、と叩きつけるように動かす
- しっぽを左右にブンブンと振る
- 耳が平らになる(俗称「イカ耳」状態になる)
このような様子が見られたら、かまったり撫でたりするのはやめて猫から離れましょう。
噛みグセの治し方は、猫の気質や各々のケースによって合う・合わない、効果の有無など、差があります。
効果がありそうな方法や無理なく実行できそうな方法を選んで試してください。
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